■特徴・分布・生育環境
       
      常緑の高木で高さ20m以上にも達します。
      ご承知の通りマツの仲間で、いわゆる針葉樹です。
      葉は針のような線形で一対づつ(2枚)つけます。
      
      アカマツやクロマツでは針状の葉は対になって2枚ですが、仲間(マツ属)のゴヨウマツ、チョウセンゴヨウやハイマツなどでは5枚です。
      
    アカマツは、痩せ地にも耐えて生育し、乾燥した尾根などにも生育します。
      これに対して仲間(マツ属)のクロマツは海岸地域に多く、水分条件のよい場所ではクロマツの成長のほうが早いようです。
      また、アカマツの葉は細くて短かく,クロマツに比べて柔らかいことからメマツ(雌松)とも呼ばれ、クロマツは葉が太くて長いことから,オマツ(雄松)とも呼ばれます。
      
      果実は、ご存知の通り「松ボックリ」です。種子には翼があり風で遠くに運ばれるようになっています。
      
      多摩丘陵では、自生のアカマツは少なく、クロマツの自生はなかったものと推定されます。
      
      ■名前の由来
      マツは万葉の時代から親しまれていて「マツ」の語源には諸説があります。
      ただ、万葉集ではマツに「松」の他に「待」の漢字をあてていることもあることから、「神の降臨を待つ」神聖な木であることを意味しているという説が有力なようです。
      
      ■文化的背景・利用
      万葉集には松を詠んだ和歌が80種ほどもあり、古い時代から人の営為や信仰の対象として身近な存在であったようです。
      また、松は常緑で一年中濃い緑色を保つので、古い時代から神聖な木として神の馮り代(よりしろ:神が降臨する場所))とされてきています。
      門松にもこの意味から松が飾りつけられます。門松を「松飾り」と呼ぶのもこのことからです。
      なお、門松には通常赤松の葉が使われるようです。
      
      材は建築材、器具材、土木材として広く利用されます。
      
      アカマツは、秋の味覚の王様であるマツタケがとれることで有名です。
      マツタケは菌類のキシメジ科のキノコ(子実体)で、マツの根に寄生します。
      
      松脂(まつやに)は、マツ属の樹木が分泌する天然樹脂です。
      夏の成長期に、幹にV字型などに傷をつけて樹脂をしみ出させて採取します。
      採取した直後は透明な液体状ですが、徐々に揮発性の成分が揮発して粘性が高くなります。
      その松脂を結晶化すると白い固形物質になります。テレピン油やロジンを含み、特有の匂いがあります。
      ヴァイオリンの弓などに松脂やその成分のロジンを塗りつけて摩擦係数を大きくしたり、野球やハンドボールのボールの滑り止めに使用します。
      野球のピッチャーが使う滑り止めの粉を入れた袋をロジンバッグと呼ぶのもこのためです。
      
      ■食・毒・薬
      葉は硬いので食用にはなりませんが、マツ属の種子はタンパク質を多く含み食物繊維が豊富なため、世界各地で食用とされています。
      揚げたり炒ったりしてそのまま食べるほか、料理の材料や製菓原料としてよく用いられます。
      
      ただ、アカマツやクロマツの種子は小さいことから余り利用されてはいないようです。
      
      世界各地に自生する20種ほどのマツ属では種子が大きいこともあって、広く食用として利用されています。
      日本ではチョウセンゴヨウの種子がその代表格です。
      
      薬用には利用されないようです。また、松脂などを食べなければ有毒ではないようです。
      
      ■似たものとの区別・見分け方
      名前の通り、アカマツの樹皮は赤褐色で亀の甲羅のように裂けています。
      これに対して、クロマツの樹皮は黒色で、やはり亀の甲羅のように裂けています。
      また、アカマツは内陸地域に自生するのに対して、クロマツは海岸に近いところに自生します。
      他のマツ属では葉が5対であることで容易に区別できます。
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     | 写真は「葉と花」、「幹」の2枚を掲載 |  
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     アカマツの葉と花 (新芽の基部に横に小さく突き出した部分) |  
      
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     | アカマツの幹 |  
     
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