■特徴・分布・生育環境
      落葉樹林の林床に多い常緑の多年草で、エビネの名からはわかりませんがランの一種です。
      
      葉は幅5cmほど、長さ20cmほどと細長く、葉脈が葉縁に沿った平行脈で隆起していて目立ちます。
      
      春に、越冬葉の脇から新芽と花芽を出し、春の終わりごろに高さ20〜25cmほどにもなる花茎をほぼ直立させて円錐塔状に多くの花をつけます。
      花は、典型的なランの花の特徴を備えています。
      花の色や形態に変異が多く、花色は白から淡紅紫色までいろいろあります。
      
    日本各地〜朝鮮半島・中国大陸に分布します。
      多摩丘陵では落葉樹林下に見られますが、近年(2010年現在)乱獲によって個体数を大きく減らしています。
      2016年現在では、自生のものを見ることはごく稀です。
      
      ■名前の由来
      根が肥厚していてエビの尻尾に似ているという命名です。
      
      ■文化的背景・利用
      エビネは万葉集やその後の多くの和歌集には現れてはいませんが、花色や形の変化が多いことから江戸時代にはエビネの園芸栽培が盛んになっています。
      後述のキエビネとの人工交配もおこなわれていたようです。
      近年でもエビネやキエビネは園芸植物として人気があり、多くの園芸品種が作出されています。
      
      江戸時代に編纂された貝原益軒の「大和本草」に、「花草類」として「ヱビネ」の名が現れています。
      ラン科の植物は、現在ワシントン条約で保護の対象となっていて、国際的な取引は禁止されています。
      
      ■食・毒・薬
      エビネに毒性はないようですが、未確認です。また、食用や薬用にもしないようです。
      ■似たものとの区別・見分け方
      草姿や花が似ているキエビネがありますが、花色が黄色なことで容易に区別できます。
      ただ、キエビネは、もともとの自生は西日本で、多摩丘陵では植栽されたものが半野生化していた可能性はあります。現在では、ごく一部に保護植栽されているだけです。
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     写真は「花」、「花穂と葉」、「越冬葉」、 「新芽」、「花芽」の5枚を掲載 |  
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     | エビネの花 |  
      
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     | エビネの花穂と葉 |  
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     | エビネの越冬葉 |  
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     | エビネの新芽 |  
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     | エビネの花芽 |  
     
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