■特徴・分布・生育環境
      環境省が指定する絶滅危惧II類(近い将来に絶滅が危惧される種)の植物です。
      
      本来は落葉広葉樹中心の疎林の林床に自生します。
      
      早春に葉に先駆けて径3cm前後の黄色い花を開きます。
      花被片は、十数枚あり杯型に開きます。全草に強い毒性があります。
      
      葉はニンジンの葉のように細かく切れ込んでいます。
      葉は、花の終期ごろから大きくなります。
      葉は、最終的には草丈30cm前後にもなり、こんもりとした草姿になります。
      
      晩春に結実し、初夏には地上から姿を消します。いわゆる「スプリング・エフェメラル(春の妖精)」の一種です。
      
    日本各地から東アジア東北部に分布します。
      古い時代を除いて多摩丘陵に自生のものがあったかどうかは確認できていません。
      現在では、ごく一部に植栽されたものが見られるだけです。
      
      ■名前の由来
      旧暦のお正月(2月初)に金色の花を開くので、福と長寿をもたらすとして「福寿草」となったというのが通説です。
      ただ、元日草や賀正草など多くの別名もあります。
      
      ■文化的背景・利用
      江戸時代からナンテンとともに寄せ植えし、「難を転じて(ナンテン)福(福寿草)をなす」としてお正月の飾り物としています。
      
      学名(属名)の「Adonis(アドニス)」は、欧州原産の赤い花をつける仲間(同属)を、イノシシにつき殺された王子(美少年)アドニスの血に彼を愛した美の神アフロディテの涙が混じり合って咲くとした伝説によります。
      
      万葉集やその後の多くの歌集には現れてはいないようですが、俳句では春の季語です。
      「朝日さす 老師が家や 福寿草」与謝蕪村や、
      「花よりも 名に近づくや 福寿草」加賀千代女
      等があります。
      
      ■食・毒・薬
      キンポウゲ科の植物のほとんどがそうですが、全草に強い毒性があり、誤って食べると呼吸困難や心臓麻痺などをひきおこし、死に至るおそれもあります。
      強心薬などとして使用されますが、劇薬なので民間での使用は危険です。
      
      ■似たものとの区別・見分け方
      園芸目的で持ち込まれた仲間(同属)が数種ありますが、基本的に花の色が違います。
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     | 写真は「花」と「花時の全体」の2枚を掲載 |  
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     | フクジュソウの花 |  
      
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     | フクジュソウの花時の全体 |  
     
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