■特徴・分布・生育環境
      草丈50cmほど、時に1m近くになる多年草で、水辺に生育します。
      
      夏に、葉腋から15cmほどの細長い花穂をつける上部の葉が真っ白になるのが特徴です。
      この白い葉は、ドクダミの白い花被片(苞葉)の祖先型であるとされ、花粉を媒介する虫を呼ぶためであると言われています。
      この白い葉は、花期が終わる晩夏にはほぼ緑色に戻ります。
      
      葉は卵型で、長さ5〜15cmと、大きさはいろいろです。
      
      花はごく小さく花弁はなく、花穂の基部から先端に向けて順次咲いていきます。
      
    本州以西から東アジアに広く分布します。
      多摩丘陵では、ごく稀(植栽されたと思われる)に見られ、地域絶滅の恐れが高い種です。
      水辺が護岸されてしまい生育できる環境がほとんどなくなっているために、いくつかの県でも絶滅が危惧されています。
      
      ■名前の由来
      24節気以外の雑節「半夏生」の頃に花穂を出し葉が白くなることから「ハンゲショウ」となったというのが通説です。
      他に「白粉(おしろい)」で化粧しているようだからという説もあります。
      
      ■文化的背景・利用
      「半夏生」は、24節気以外の雑節で夏至から数えて11日目で、「七夕」までの5日間を指します。現代の暦では7月初です。
      江戸時代に貝原益軒によって編纂された「大和本草」に「雑草類」として「三白草(カタジロ、はんげしゃう)」として現れる植物は、このハンゲショウであると思われます。
      
      なお、「大和本草」には「薬類」として「半夏」が現れていますが、こちらはサトイモ科の「カラスビシャク」を指しています。
      その塊茎の生薬が半夏です。時々、この半夏とハンゲショウを混同している記載がありますが誤解です。
      
      ■食・毒・薬
      漢方では、全草を乾燥させたものが、利尿に効能があるとしています。有毒であるという報告はありませんが、このような場合食べるのは避けるべきでしょう。
      
      ■似たものとの区別・見分け方
      これといった特徴のない草本で、葉が白くなっている時期以外は目立ちません。
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     写真は「花と葉」(1)と「花と葉」(2) の2枚を掲載 |  
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     | ハンゲショウ花と葉(1) |  
      
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     | ハンゲショウの花と葉(2) |  
     
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