■特徴・分布・生育環境
      草丈40cm〜70cmほどの多年草で、茎は斜上するか、斜面では下垂させます。
      
      茎の基部から先端まで、葉先が鋭三角形になる長楕円形の葉を交互に多く並べます。
      
      茎の上部の葉腋に径3cmほどの漏斗型の花を上向きにつけ、茎にそって花を多く並べます。
      
      花は秋に咲き、6花被片からなり、花の外側は白色で内側全体に紅紫色の斑点があります。
      
    日本原産種ですが、多摩丘陵では自生のものは数十年前から確認できておらず、人家のそばによく植栽されているものはタイワンホトトギスか、タイワンホトトギスとホトトギスの交雑種または園芸品種と思われます。
      タイワンホトトギスは、もともとは石垣島から台湾の暖帯に分布します。
      
      ■名前の由来
      花の斑点が、野鳥のホトトギスの胸の斑点に似ていることから「ホトトギス」の名になったというのが一般的です。
      野草のホトトギスには「杜鵑」の漢字をあてることが多く、野鳥のホトトギスには「不如帰」の漢字をあてることが多いようです。
      
      ■文化的背景・利用
      万葉集では、野鳥のホトトギスの歌が150種余りも現れていますが、野草のホトトギスは詠われていないようです。
      江戸時代の文献などにも、野草のホトトギスは現れてはいないようです。
      
      ■食・毒・薬
      有毒であるという報告はないようですが、不明です。また、薬用にもしないようです。
      食べられるという報告が一部にありますが、未確認です。このような場合、食べるのは避けるべきでしょう。
      
      ■似たものとの区別・見分け方
      多摩丘陵では、この仲間(同属)ではヤマホトトギスやヤマジノホトトギスが自生します。
      ヤマホトトギスでは花被片が基部に向かって強く反り返っていること、ヤマジノホトトギスでは花被片が水平に開くことで区別できます。
      ホトトギスでは、花被片は斜め上に向かって開くことと花のつく数が多いことで区別できます。
      
      タイワンホトトギス(学名:Tricyrtis formosana)では、茎の先で花茎が多く枝分かれして多くの花をつけるのが特徴です。
      掲載した写真も植栽されていたもので、園芸品種の可能性があります。
      
      タマガワホトトギスは花被片が黄色なので、容易に区別できます。多摩丘陵では確認できておらず、古い時代も含めて自生があったかどうかは不明です。
      他の仲間(同属)の、キバナノホトトギス、キバナノツキヌキホトトギス、ジョウロウホトトギス、キイジョウロウホトトギスやサガミジョウロウホトトギスはともに花被片は黄色ですが、自生地が限られていて、多摩丘陵には自生はありません。
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     | 写真は「花」と「葉」の2枚を掲載 |  
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     | ホトトギス(園芸品種)の花 |  
      
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     | ホトトギス(園芸品種)の葉 |  
     
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