■特徴・分布・生育環境
      草丈15cm〜40cmほどの1年草です。
      
      夏から初秋に、花茎の先にいくつかの径1cmほどの球形の小穂をいくつかつけるのが特徴で、カヤツリグサの仲間では見分けやすい。
      小穂は緑色から褐色になり、多くの鱗片状の花を密につけます。
      
      カヤツリグサの仲間では普通ですが、葉は細長い線形(幅3〜5mm、長さ20cm前後)で、茎の断面は三角形です。
    カヤツリグサの仲間はそれぞれよく似ていて、専門家でないと区別が難しい種類です。
      
      畑地や草地、あるいは荒地に生育し、日本各地から世界の暖地に分布します。
      多摩丘陵では草地や畑地に比較的よく見られます。
       
      ■名前の由来
      「カヤツリグサ」は茎を裂いて四角形にして蚊帳(かや)にみたてて遊ぶので「蚊帳吊り草」となったというのが通説です。「玉(たま)」は、花穂が球形であることからです。
      
      ■文化的背景・利用
      茎の両端から裂いて真ん中あたりで90度にすると四角い蚊帳のようになります。蚊帳は、都市部では40年ほど前から使われなくなっていますが、箱型の目の細かい網を寝室いっぱいに吊り下げて蚊に刺されるのを避けるための道具です。
      
      知られた詩歌や文芸などにはその名は現れていません。
      いくつかの本草書にもその名は現れていません。
      
      ■食・毒・薬
      カヤツリグサでは、ごく一部に全草を乾燥させて煎じたものに脚気や喘息などに効能があるという報告がありますが確認されてはいませんので避けるべきです。
      タマガヤツリを薬用にするという報告はありません。
      硬くて食用にはなりません。
      
      ■似たものとの区別・見分け方
      この仲間(カヤツリグザ属)は、相互にとてもよく似ていて専門家でも区別に苦労します。
      カヤツリグサでは、小穂はやや放射状に短く伸びていますが、タマガヤツリでは小穂は球形になるので容易に区別できます。
      良く似たコゴメガヤツリやチャガヤツリは、カヤツリグサにとてもよく似ていますが、専門家でない限り区別は困難です。一般には、カヤツリグサとしてよいと思います。
      植物学的には、カヤツリグサでは小穂の小軸には翼があり鱗片は明らかに凸端になりますが、コゴメガヤツリでは小穂の小軸にはほとんど翼がなく鱗片の先端はわずかに凸端に終わることで区別します。
      また、チャガヤツリでは鱗片の色が赤褐色で先端は著しく外曲する突起に終わることで区別します。なお、カヤツリグサやコゴメガヤツリの小穂の色は普通黄緑色です。
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     | 写真は「花穂1」と「花穂2」の2枚を掲載 |  
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     | タマガヤツリの花穂1 |  
      
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     | タマガヤツリの花穂2 |  
     
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