■特徴・分布・生育環境
      多摩丘陵では、稀少種になっています。2010年現在、限られた場所に数個体しか確認できていません。
      
    草丈50〜120cmほどで、茎を直立させて、普通枝を分けます。
      
      夏に(多摩丘陵では6月初旬〜中旬)、茎頂にいくつかの花をつけます。
      花は、1日花(朝開いて夕方に萎む)です。
      
      花はオトギリソウの仲間では大きく、径5cmほどの黄色の5弁花です。
      花弁が片側に偏って幅が広いため、花が巴型になります。
      
      葉は、長さ4〜8cmほどの狭楕円形で葉先は通常は円形で、時にやや鈍三角形状です。
      オトギリソウの仲間には葉や花に「明点」(明るい小さな点)や「黒点」(黒い小さな点)(油点)があるのが特徴ですが、トモエソウでは、葉に多くの明点があり、黒点はありません。
      
      日本各地から北東アジアに分布します。
         
      ■名前の由来
      巴型の花の形からの命名です。
      
      ■文化的背景・利用
      江戸時代の貝原益軒による「大和本草」などの本草書にその名が現れています。
      知られた詩歌や文芸などには、その名は現れていないようです。
      
      ■食・毒・薬
      仲間(同属)のオトギリソウは薬草としてよく知られていて、神経痛、リュウマチ、痛風などの鎮痛や月経不順などの内用薬・浴用薬、打ち身や外傷の外用薬に効能があるとされています。
      葉に赤い色素毒があり、紫外線にあたると毒性が現れ、皮膚炎などを惹き起します。
      ただ、トモエソウについては、その毒性や薬効に関する明確な報告はないようです。いずれにしても、注意が必要でしょう。
      
      ■似たものとの区別・見分け方
      オトギリソウの仲間(オトギリソウ属)は、みなよく似ていますが、トモエソウは花の形が独特なので容易に区別できます。
      
      植物学的には、明点や黒点(油点)の種類や葉内部の分布のしかたで最終的には分類されるので、オトギリソウの仲間は一般には区別が困難な種類です。また、地域的な固有種や地域的変種も多いので、余計に難しくなっています。
      なお、この仲間では多摩丘陵には、欧州からの外来種で帰化しているコゴメバオトギリが鶴見川水系の堤防などに時々見られますが、葉が大変小さく、長さ1.3cmほどしかないことで容易に区別できます。
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     写真は「花」、「花(午後)」、「葉と果実」 と「葉」の4枚を掲載 |  
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     | トモエソウの花 |  
      
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     | 花(午後) |  
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     | トモエソウの葉と果実 |  
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     | トモエソウの葉 |  
     
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