■特徴・分布・生育環境
      花時(果実時)には高さ10〜15cmほどになる常緑の矮小木本です。小さいので草本に見えます。
      疎林の林床に自生します。
      
      同じような環境に自生し、花期もほぼ同じイチヤクソウの近縁(別属)種です。
      東京都の中島氏からのご連絡で、2014年に始めて自生を確認できました。
      
      他の草やササなどがほとんど生えないような場所で、落葉がそれほど積み重ならない場所を好むようです。
      したがって、丘陵地の谷筋ではなく小尾根筋に自生することが多い。
      
      葉は茎の中程に数枚つき、長さ3cm前後と小さく、幅0.5〜1cmほどの狭長楕円形で、葉先は三角形状です。
      葉はやや厚く革質です。葉脈の主脈(時に支脈にも)に沿って汚白色になっているのが特徴のひとつです。葉縁には鋭い鋸歯(葉の縁のギザギザ)が目立ちます。
      
      夏(多摩丘陵では6月初旬ごろ)に、茎頂に高さ5cmほどの花茎をほぼ直立させて、広鐘型の花を1個つけます。
      ただ、花期は長くても10日間ほどなのでタイミングを逸すると出会えません。
      花色は白色で径1cmほど、花はやや下向きにつきます。花弁は5枚です。
      果実は大きさ5mm強の偏球形で、上向きにつけます。
      
    日本各地から朝鮮半島・中国大陸東北部に分布します。
      多摩丘陵では、ごく限られた場所に、ごく少ない個体数が確認されているだけ(2010年頃以降)です。
      
      ■名前の由来
      花が梅の花に似ているとして「ウメ(梅)」で、広鐘型の花がやや下向きにつく様子を「笠(菅笠:すげがさ)」にたとえた命名であるとするのが一般的です。
      
      どことなくウメバチソウ(梅鉢草:ユキノシタ科、時にウメバチソウ科)の名が似ていますが全く別種です。
      こちらは、梅の花に擬した家紋である「梅鉢」に花が似ているという命名です。
      
      ■文化的背景・利用
      万葉集や多くの和歌集には詠われていません。文学的にも記載はないようです。
      江戸時代の本草書のひとつのその名が現れているとされることがありますが、未確認です。
      
      ■食・毒・薬
      近縁(別属)のイチヤクソウとは異なり、薬用にはしないようです。ただ、仲間のオオウメガサソウは薬用にすることがあるようです。
      食用にはできません。また、有毒であるという報告は確認できていません。
      
      ■似たものとの区別・見分け方
      花が、近縁(別属)のイチヤクソウとその仲間に似ていますが、イチヤクソウとその仲間では花柱(メシベ)が明らかに太くて花冠から突き出しています。
      仲間のオオウメガサソウでは、花を花茎の先に数個つけます。
      
      上述の通り、ウメバチソウの名がどことなく似ていますが、全く別種です。ウメバチソウ(梅鉢草)はユキノシタ科(時にウメバチソウ科)の草本で、花はやや似てはいますが上向きに開花します。
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     | 写真は「花期の全体」と「果期の葉」の2枚を掲載 |  
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     | 花期の全体 |  
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     | 果期の葉 |  
      
     
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