■特徴・分布・生育環境
      江戸時代に欧州(南アメリカ原産ともされます)から渡来した外来種です。よく植栽されていて、時に半野生化しています。
      
    草丈20〜30cmほどの多年草です。
      春から初夏に、1本の茎をほぼ直立させ、高さ8cmに及ぶ円錐塔状の花穂を立て、濃い青紫色の長さ1cmほどの花を花穂の周囲に多くつけます。しばしば群生します。
      
      葉の表面に照りがあり、仲間のジュウニヒトエとのよい区別点になります。
      
      葉は、長さ3〜5cmほどの長楕円形で葉先は丸みを帯びます。
      
      この仲間(同属)を代表するキランソウは、茎は地面に沿って伏していて草姿はまったく違います。
      
      他によく似た在来種のジュウニヒトエや、同じく茎を立て葉腋に数個の花をつけるツクバキンモンソウがあります。
      
      セイヨウジュウニヒトエは、西暦2000年ごろでは多摩丘陵では人家周辺などに半野生化していて時々見かけます。
         
      ■名前の由来
      在来種のジュウニヒトエによく似ていて、外来種なので「セイヨウ(西洋)」です。
      
      ジュウニヒトエの名は、花穂に花が重なり合う様子を、平安時代の女官の衣装「十二単」にたとえたものであるという説が一般的です。ただ、この名がつけられたのは鎌倉時代にはいってからであるという説があります。
      なお、江戸時代の本草学者である小野蘭山は、漢名に夏枯草(かこそう)をあて、夏に新旧の葉が入れ替わる様子からの命名であるとしているとのことです。
      
      ■文化的背景・利用
      外来種であり、また渡来して歴史が浅いこともあって、知られた詩歌や文芸等にはその名は現れていないようです。また、多くの本草書等にも現れていないようです。
      
      ■食・毒・薬
      明確に有毒であるという報告も薬用にするという報告もないようです。
      このような場合、食用にするのは避けるのが賢明です。
      
      ■似たものとの区別・見分け方
      〇上述の通り、仲間(同属)で、同じように茎を立てるツクバキンモンソウでは、花は葉腋につけることと、葉の葉脈に沿って紫条が入ることで容易に区別できます。
      
      〇在来種のジュウニヒトエは花色が淡紫色で、葉の表面に毛が多く、セイヨウジュウニヒトエでは花が濃い青紫色で葉の表面に照りがあることで容易に区別できます。
      
      〇この仲間(同属)を代表するキランソウは、茎を地面に張りつけるように伸ばして葉腋に花をつけるので容易に区別できます。
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     | 写真は「花」、「花と葉」と「全体」の3枚を掲載 |  
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     | セイヨウジュウニヒトエの花 |  
      
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     | セイヨウジュウニヒトエの花と葉 |  
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     | セイヨウジュウニヒトエの全体 |  
     
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