■特徴・分布・生育環境
      全世界に帰化している世界種で、もとは欧州から広がったものと考えられています。日本には古い時代に中国から渡来したとされています。
      
      「芥子(ケシ)」の名はありますが、キク科の草本でケシの仲間とは全く別種です。
      葉が、モルヒネを含み麻薬のアヘン(阿片)を採取するケシやアツミゲシなどの葉に似ているとしてこの名があります。栽培や所持が禁止されているケシの仲間は葉が茎を抱いていて、その点でも似てはいます。
      
      草丈50cmほど、時に1m近くになる多年草です。茎は中空です。
      早春から花をつけ、秋まで花をつけます。茎頂に花径2cmほどの黄色の頭花をつけます。タンポポに似た花で、筒状花はなく舌状花だけからなります。
      葉はやわらかく、羽状に中裂から深裂します。
      
    多摩丘陵では、日当たりのよい草原や路傍の草地などによく見かけます。
      
      ■名前の由来
      上述の通り、葉がケシの葉に似ているとの命名です。「野」は山野に普通なことからです。
      
      別属(アキノノゲシ属)のアキノノゲシに対比させて、時に「ハルノノゲシ」と呼ばれますが、似てはいません。それに、ノゲシは秋まで咲いています。
      中国では「苦菜」などと呼び、古くから食用にされています。
      
      ■文化的背景・利用
      平安時代の「本草和名」や「倭名類聚抄」に「苦菜」などとして、その名が現れています。
      江戸時代の「本草綱目啓蒙」にも「苦菜」として「ノゲシ」の名が現れています。
      
      知られた詩歌や文芸などには現れていないようです。
      
      ■食・毒・薬
      早春から春のノゲシの若い葉は、苦みはありますが食用にされます。
      中国では薬用にするとのことですが、日本では、全草を乾燥させて健康茶にする程度です。
      
      ■似たものとの区別・見分け方
      〇仲間(同属)のオニノゲシがよく似ていますが、オニノゲシでは葉の縁がトゲ状で触ると痛いことで区別できます。
      
      〇別属ですがコウゾリナにやや似ていますが、コウゾリナでは茎に細かいトゲが密生していることで容易に区別できます。
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     | 写真は「花と茎葉」、「春の全体」と「早春の若葉」の3枚を掲載 |  
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     | ノゲシの花と茎葉 |  
      
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     | ノゲシの春の全体 |  
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     | ノゲシの早春の若葉 |  
     
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